白という色について/灘 修二
 
人は白をみていて、白をみていない
青をみている
消えた悲しみの青を

人は白をみていて、白をみていない
赤をみている
亡くした赤子の熱病の赤を

人は白をみていて、白をみていない
緑をみている
忘れて遠ざかる過去の緑を

人は白をみていて、白をみていない
黄色をみている
断たれた一条の希望の光を

だが、白にはみえない色がある
それは黒。
黒は白の仇敵だ。
黒は逃げる間も与えず白を消す。
人は黒をみてはなにもみえない。

哀れ、グレーよ
黒の来襲で死ぬかけたグレーよ

人はグレーゾーンにいる
人は白をみていて、白にはなれない
逃げる白を追い、襲う黒から逃げていく
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