銀と柱/木立 悟
粒の柱が降りてくるころ
銀はかたちを変えつづけ
ほどけるようでほどけずに
そろえた両手を羽とは逆に
ゆっくりゆっくりのばしている
惑いは惑いにはばたいて
飛び立つことさえかなわずに
青空をふちどる鈍色を見る
焼けては落ちるものの向こうに
たくさんのたなびくものたちを見る
あつまりはじめた雲を浴び
手は瞳の上から離れ
瞳とともに午後を見る
地から 空から
剥がれゆく小さな火の群れを見る
雨は雪になり また雨になり
手と瞳は銀になり音になる
滅びない国の旗など無く
掲げられた旗たちの今は
いつまでつづく今なのか
粒の柱は応えることなく
旗はのばされた手の先と
瞳のなかにたなびいている
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