ゆびのおと/るるりら
ものから順番に 花の名前を与えた
きれいな人々が街にあふれ
そのそれぞれが花のようだった
街自体が光輝く花のようだった
人々はいつしか醜いもの蔑み 侮蔑し 目もくれなくなった
そんなとき あるひとの ゆびのおとが ぱちんとなったとき
天地がひっくりかえり富ある者もそうでないものも死んだ
ながいながい
慟哭
ながいながい
艱難
ながいながい
沈黙
かさなりあう
沈黙
しずかに
いくつもの手と手が
結ばれて
そして
いま
耳をすますと
ちいさな子の あまり上手ではない ゆびのおとがキコエル
生き残った人々は すこし笑い
人々は
ちいさな こころのまま 歩きださずにはいられない
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