賢治とシラーとベートーヴェンと(おおよそ統計に従はば)/soulflower
ルは、これほどに焦りと緊張を呼び起こすのに。
結局、このリミックス版、というよりは粗雑な切り張りが、現在に至るまで広く流布されることになった。
さて、「生徒諸君に寄せる」というタイトルと、断章最終部の「さあわれわれは一つになって」という言葉は、そのままシラーの「歓喜に寄せて(An die Freude)」を想起させる。
シラーを下敷きに、キリスト教的ヒューマニズムを超えた共感を志向する点において、「生徒諸君に寄せる」はもう一つの「第九」と言えるかもしれない。
もう一度、ベートーヴェンが書き加えたあの一節を思い起こそう。
「おお友よ、そのような音ではなく!」
あのとき朝日新聞社でペンを握った御老人に百回言ってやれ。詩人の言葉をリミックスするとはこういうことだ。
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