私事 繭の想い/月乃助
雨かと思ったら
雪どけの 水音でした
、、、、、、、、、、、、
陽ざしのはし
いつもは気づかずにいた 木々の陰影が
光をすって ゆれている
森は確かに今も
雪絹の繭のなか
男に媚びるすべをしらぬ わたしは
水気をふくんだ おもい雪を
男の筋力を のどから手が出るほどに欲しながら
かいていく
美しさでなく
体積と質量で 雪の諸相をしる
海峡の街 子をつれ
アールグレーとチーズケーキを欲したように
男の体を持った 異形の姿のわたしをもとめる
ここでは、
くびれた腰も 長いつめも 口紅も
なんの役にもたたない
肌のすきまに 汗をおとす
森は雪の繭のなか わたしは、
化身を夢みながら
春をまちわび、
・
陽光はきびしさを うしない
ぬくもりが すこしづつ すこしづつ
わたしの冬を ほどいていく
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