運命のフォーチューン、幸せのフォーチューン/mizunomadoka
生業にfortune-tellerを選んだ男が
明日滅びると知る街で
子供たちに幸せな未来を語る
紙芝居のカードをめくる
朝食のクッキーを食べながら
ライフセーバーハウスに行くと
私の階段に男が寝てる
てめーいつから寝てるつもりだ?と
心の中でつぶやいて
今きた道を引き返す
クッキーの箱を畳みながら
水筒のコーヒーを空ける
朝の空気は冷たい
ピリピリと放電する音がする
私は地下室の扉を閉じて
戻れないようロックを破壊する
女とすれ違う
男が眠っている
子供たちもそうだろう
誰もがそうなる
男は目を覚まさない
寄り添っていたはずの犬の姿も
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