深海魚は固いベッドで横になる/ただのみきや
眠りがフクロウのようにさらって行った
わたしの寝顔を照らすのは
月や星ではなく
まるで深海魚のよう
自らのいのちの灯にほかならない
闇の毛布に包まれた
記憶の中の光彩は
彗星のように尾を引いて
たましいを駆け廻り
無意識の中に隠れ住む
詩人をゆりおこす
詩人のことばはイメージに変換されて
夢となって脳裏に降り注ぎ
湖の上の花火のように輝いては
やがて深層に静かに消えて行く
もっとも深い海の底に
一つの恒星が輝いている
そこには夜がない
誰も夢すら持ったままで
そこへ行くことはできず
ただもっとも深い眠りの中で
近づいて
その温かさにふれる
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