カポタスト/草野春心
 


  ホラ、
  しろい星がひとつぶ
  暗い夜空を渡ってゆく
  舌に載せた飴玉のように
  甘ったるい蜜の絹糸を残して
  ホラ、冬は煌めき
  あなたの両眼に
  深く埋めこまれてゆく
  けれどもあなたはただ、
  三日月のかたちに笑うばかり
  だから僕は歌うよ
  色褪せた箱椅子に座って
  あなたの髪の六本をつまんで
  銀色のカポタストで挟んで
  子どもの悪戯のように
  慈しむように掻き撫でるだけで
  愛がひとつぶ……ホラ、
  もうひとつぶ、
  ぎこちなく舞い昇ってゆく
  堕ちてしまったあの星が
  かつて輝いていた玉座まで




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