蟻殺しのアリエッティー/和田カマリ
す。このお話の最初に、僕が言った事、これで今度こそ、皆様にもお判り頂けたと思います。
ふと見ると、弟夫婦も泣いていました。
「ちょっと待て、お前らの涙には、不浄の澱が沈殿している。」
僕ははっきりと言いました。何故って奴らは、僕の結婚のせいで、この家を出て行かなければならないからです。ただ、この様な祝いの席においても、自らの保身を優先する、弟夫婦が急に哀れにもなってきました。
「ならば、引き続き、この家にはおまえ達が住めば良いだろう。」
その時の奴らの安堵の表情が、未だに忘れられません。
あまり、人付き合いの良くない妖精さんと、父母をいきなり同居させるのは、得策
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