この世界で君よ歌え/うめぜき
声を上げて、歌いながら
幼い日 螺旋階段を見上げている僕は
空の蒼さを はじめて信じた
空の蒼さが 神話になる時
僕は公園のベンチで 泣いた
膝小僧を抱えて
気づかれないように
気づかれないように
君は美しい協奏曲になっていく
やがて
僕は君を結べなくなった
もう何年も君はいない
空に風化してしまった
都会生まれの足音が
ビルの谷間に鈍色を差し込んでいく
どんよりとした世界だ
何も見えない
息が出来ない
だ
か
ら
声を上げて、歌いながら
君を探している
君の欠片を探して
僕は歌う
遠い昔
神話になってしまったあの蒼い空で
君よ
歌ってくれ
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