誰か背中を押してくれ / 冷たい交差点/beebee

雨と風が一緒に顔にかかって
少し髪を濡らす交差点に
ぼくは独り君を想い立っているよ
君がいつもしていたリュックの色は薄い緑色で
不思議なくらいどんな色のシャツにも合っていたね
いつも髪の毛が少し肩先に流れて
風を呼んでいたね
いま君は暖かい部屋の中から
この冷たい白い空を見ているのだろうか
君の口笛は一曲だけなので
僕は春の暖かさと一緒じゃなきゃ思い出せない
それともダイダイ色の暖かい秋空の下か
君が摘んだ野草は鋭利な葉先で
君の指の腹を傷つけた
君は傷口にそっと口を付けた
僕を見て微笑む君の不思議な笑
[次のページ]
戻る 編 削 Point(27)