見ている/長押 新
 
て摘み取られる前は自分の為に美しいって言うのに。

お腹に大量の虫を飼っているみたい。黒くて、足の多い。飲み込んだわたしが溶けて魚の胃袋から現れた虫。それもわたし。その虫もわたし?そのわたしがわたしを蝕んでいるのかしら。いいえ。それならこうやって手紙を書くことなんて出来ないもの。

陽射しがわたしの正体を明かしていく。わたし。わたしは影。お母さん、私は影。

お母さん、お母さんはわたしが男の子でなかった事を今でも憎んでいますか。私も男の子に産まれたら良かったと思っていました。処女だった頃まで。

血が流れていく。月経です。


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