石榴/yuko
 
の中へ降りて行っ
たあなたの斜め後ろを連いていったわたしの
足音はすこしずつ薄くなり、滝壺に落ちて死
んでしまった携帯電話の目がこちらを向いて
震えたのを、覚えています。ぷちぷちと音を
たてて弾けながら虹彩みたいに広がっていっ
た世界の揺らぎを毒殺する(あなたの汚れた
口元を拭う)そうして何も生まれないわたし
のなかはひどく静かでした、まるで光の届か
ない深い海みたいに。



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