石榴/yuko
 
 真夜中の底に座ったまま、やわらかい悲鳴
が澱になって、沈んでくるのを見ていた。張
られて赤く染まった頬を覆っていた長い髪が、
絡まり合いながら水面に浮かぼうとしている。
「あなたが思うより傷つきやすいんですわた
しの、肌は」午前零時、壁掛け時計の人形た
ちが一斉に踊りだして、わたしは電子レンジ
のダイヤルを回し、眠りにつく。あなたは、
時間通りに帰ってきたことがない。

 真四角な部屋の隅で、ゆっくりと服を脱い
で。すかすかのクローゼットに、ふたつ並ん
だ外套。降り続ける雨の音。「人間と人間が
交わって人間が生まれます」あなたが吊り下
げた、糸はまなざしに変わり、わた
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