僕的不条理/HAL
それともきみは何かを信じることが不条理だと言う訣かい
それなら僕がきみに問いたい
きみは何でもいい
待つものもなく生きていけるのかい
神でも愛でも善意でも夢でも何でも構わない
正義でも大義でも真理でも逆理でも構わない
親切でも偽善でも実像でも虚像でも構わない
信じるものなしに待ちわびるものもなしに
生きていくことは不幸じゃないのだろうか
その不幸を背負って生きていくことこそが
きみの言う不条理だと呼ぶんじゃないかい
きみは何かを考えている様に沈黙する
そして僕は話は終ったと想い
きみと同じく黙ったままきみの顔を見つめ続ける
不条理とは神が創ったものであり
理不尽とは人間が創ったものだと
言葉には出さずに心で想いながら
(Thanks To Samuel Beckett)
戻る 編 削 Point(4)