無記名の朝/
高原漣
(遠景)
空に航跡
青い骸骨、と桜色の眼窩。
が、見ている土気色の梅。
ルドラークシャ・アーガシュクの季節がまた巡ってくる
(転回)
砂に足跡
れ、れろれ、ら、らら、れれろら……
乾いた風(シムーン)が女の黒い外套(マント)をはためかせている。
それは襤褸(らんる)の旗に似て
尾翼を天に向かって突き出した銀無垢の機体の
遺影を縁取る額縁か、あるいは聯隊旗のように
なぶられるままに、ゆらめいている
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