蒼いバケツ/
草野春心
灰色の老人が
灰色の部屋に
冬晴れの空より蒼い
バケツを忘れていった
その、つるりとした底面に
透明な昆虫がうじゃうじゃ蠢き
透明な手首を噛み千切り喰い
血液は溜まり続け
そのすべてに
時間のつめたい粒子が
しんしんと積もっていった
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