あしあと/山人
 
はやじを蓄え、裂けるような泣き声を残して、直ぐさまぐったりと死亡する。それらの死骸は怪しく光ったかと思うと下面に吸い込まれていった。
煮えた脳液は冷めることがなく、怒りと狂気は果てしなく製造されてゆく。彼は生き物ではないのではないか、そう思った時、私の頭の中のピンが外されたかのような感覚に陥った。  

ぼうっとした まだ朝になりきれない三時。
渦巻いて悶々とした吐き気と、乾いた怪しい鼓動が深夜を越え、重い元旦を迎えていた。
血流もまだ馴染んでいない、とらえどころのない空間。胃腑から浮き出てくる悪寒を感じながら闇に嗤う。
凍った月の夜を歩く。
沈黙が重力に沈み まだ夥しい夜が陳列され
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