トマトときゅうりの物語/石田とわ
 



     さむいさむい小さな箱の中、そこがふたりの始まりでした。
     ほっぺを真っ赤にしたトマトはまるでお日様をそのまま
     詰め込んだようで元気いっぱいはちきれそうです。
     そんなトマトがきゅうりは大好きでした。

     真っ赤な可愛いトマトを前にしてひょろ長いじぶんをどうやったら
     好きになってもらえるのだろうときゅうりはみどりの体をながめては
     ため息ばかりついていました。

     さむいさむい箱の中でふたりは夢中になっておしゃべりしました。
     と、いってもトマトのおしゃべりをきゅうりは黙って聞くばかりでした
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