顔なしのひと/恋月 ぴの
ひとりで生きられる
生きられない
それとも、ひとりで生きざるを得ない
わたしってどれなんだろうね
※
無責任ってわけじゃないけど
ちょうど
満員電車のなかで誰かに寄りかかってしまうような
仕方ないじゃんと思っているところがあって
大人らしさを自覚しなくちゃなんて
朝起きる度に思うのだけど
何かしら困りごとが起こる度
誰彼となく手助けを求めていたりする
それでも喉元過ぎれば知らん顔
我ながら身勝手すぎるとは思うのだけど
※
頭の禿げあがった男のひと
意外に家事とか苦にしないようで
塵ひとつ落ちてない片付けられた部
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