死者を鎮めるものよ (諏訪敦 賛歌)/いねむり猫
であるものとして
世界から 歩み去る自由を与えたのだ
それもまた 死者にとって 最高の贈り物であることを
死者を最も愛する者たちは 判っている 知っている
自分たちが 死者をゆがめ、死者を捕らえ、死者を汚すことから
死者が守られている と
直感的に理解するからこそ
死者に向けて 改めて 熱い涙を流すことができる
死者とのはるかな 埋めようもない距離を はっきりと判るからこそ
死者を汚してしまうことが もはやありえないことが はっきり判るからこそ
安堵しながら 死者と向き合うことができる
死者を悼み 死者を懐かしみ 死者を
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