風いろ/草野大悟
 
空にうかんでいる きみは
風いろのヌードをまとい
ゆらゆら
ぷかぷか
空の波に遊んで
手足をう〜ん、と伸ばして

流すのは 涙?

すき透った過去なんて知らないわ
過去と未来がぶつかって渦巻くところを今というのよ
時が一瞬だけ止まるところよ

歩くこともできない風なんて見たくない!

ポキン、と音たてて崩れさる血たちの空々が
いつでも青であるように
いつまでも
きみは風いろに輝け

きみの後を
よちよちと吹いてゆくのは
おそらく
ラセンの記憶が生んだ
きみ自身だ

瞬きする間に青は枯れ
朱華(はねず)となって 
赤く 黄色く 紅色に 
ひらひら ひらひら 舞いおち
猩々緋(しょうしょうひ)に変わったそれを
伝説が
ぺろぺろ ぺろぺろ
舐めるのだろう 
きっと

それでも
きみは
いつまでも
いつまでも
風いろに輝け 
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