靴下/はるな
 

それじゃあ始めます という声がして無意味がはじまる。それは声を骨組みにしてだんだんと形作られていく部屋で、うす桃色の人々が肉をつけていく。私は、あ、だめだ、ストッキングが伝線しているから生活に帰りたい鍋を火からおろすために、やりかけの日々を救出しなければならないので始めない。

そのときその人は熱心に説明している、ひとつの絵(あるいは写真)を持ち上げてたぶんそれについて熱心に説明している。人々はそれを聞いているが足元からだんだんと毛深くなっていく 飛ぶ鳥が決して越えられぬある一点があるのですそれを可視化したものがこれです、しかしそれを万人が見ることができるかというとそうではありません、物事
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