蝿/ズー
なにもきかなくていい日がきて、かげのない広場に咲いた花をゆらし、白地のデッキシューズに蝿がとびうつってくる。ぼくはかかとをへらしてあるく癖がぬけないまま、くるぶしの辺りで染みになった蝿がしずかに目をとじたのをかんじていた。つまり、きみはぼくのひだりてで新緑のベンチに腰をかける。もちろん、きっかり4オンスのチョコレートの包装紙にむきあっていた。それから。
なにもきかなくていい日の為にやらなくちゃいけないことをあらかた片付けたぼくは廃車置場から抜けだしてきたばかりのタクシーをひろい。きみやきみ以外の人も、あさ、ミセス.カリーナの店でたべたマッシュポテトよりいくらかましなチョコレートに
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