ガラスの教室/吉岡ペペロ
 
ガラスだった

熱ければ溶けて

寒ければ縮んだ

落とせば割れるし

転がせばすぐ傷がついた

でもガラスは


中学のときかさばるし重たかったから

よくわざと教科書を忘れた

隣のともだちに見せて貰っていた

あまりに忘れてくるもんだから

ともだちは時々ぼくに見せるのを嫌がった

彼にはからだに不自由があった

スキー合宿には参加しなかった

おばさんにその話をした

その子スキー行かれへんのに、みんなと説明会聞いて、どんな気持ちやろねえ、

そんなこと考えたことなくて

ぼくは自分が恥ずかしくなった

ぼくはともだちにお土産を買った

どうせ素っ気ないだろうと覚悟して渡した

ところがとても喜んでくれた

なんどもなんどもお礼を言われた


ガラスだった

熱ければ溶けて

寒ければ縮んだ

落とせば割れるし

転がせばすぐ傷がついた

でもガラスは





戻る   Point(7)