プライド/小川 葉
 


わたしは男のくせに、何も出来ないのである。これでも妻と息子を食わせているつもりであるのだが、殊、家のことになると別問題である。

先日用事があって、妻が息子を連れて仙台の実家に帰った。明日には戻ります、と伝えられたのであるが、それは三日となり、やがて四日となり、そうしてついに五日目の夜、ストーブの灯油が切れた。これはわたしがもっとも恐れていたことである。

五日目、わたしは部屋の隅で布団にくるまり、体育座りして震え、朝を待つことを決意した。明日には帰ってくるだろう。救出ヘリが来るのだ。わたしは手を振るだろう。意識を失いかけた朝に。

しかしそうしている間にも気温が下がってい
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