人の数だけいろいろあるけど/ただのみきや
 

途方に暮れて後ろ姿を見送るんだ

そう 人生は鬼ごっこ
不幸に追われて逃げながら
幸せを追って鬼になる
やっとのことで捕まえた幸せは思いのほか冷たく
あれほど恐れていた不幸が以外に優しかったりもする

人生だって よしてくれそんなもの
おれは人生の首根っこをつかんで跪かせてやったのさ
そしたら人生の野郎 下からおれの足をすくいやがったんだ
えっ どちらが勝ったかって?
あんたの目にはどう見える 見ての通りさ

人生はままならないもの
理解しにくく 受け入れ難く
仲良くなれそうもない 
よくそう思った とくに若いころは

だが最後まで付き合うと
なくてはならないものになる
互いに支え合える
親友になれる

人生はわたしが紡ぐ一篇の詩か
それともわたしを主人公にした
誰かの書いた物語なのか

多くの答えを出してもなお
最後まで謎を残す
明かされない秘密を残して
背表紙が閉じられる

人生はいつか終わるもの
そしてやがて再び開かれる
不思議な書物

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