青草句集/高原漣
 
春すぎて夏もすぎれば職もなく

蛍雪にかわる光かモニターよ

俗世からひと足先に飛び降りる

廃棄喰い己が身分の足るを知る

白米に蛆のおもかげ見ゆるかな

蓮茶飲み誰か故郷を思はざる

物憂げに窓ふりあおげ雲低し

定期切れ出るもかなわず家(うち)に居り

死してなお読まれておるは堪えられず

二次元の血液嗜好(ヘマトフィリア)は我が妹(いもと)

伝え得ぬものを如何にか伝えたし

今更と思へば哀し何もかも

雪踏みて徐州の夜は更けにけり

こんなとき「どうすりゃいいの」と叫びたい

猫なでて抜けた毛の数かぞえ得ぬ

酒のめばゆれる頭のあきめくら

思いつくままに言葉をたれ流す
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