ダイアリー/haniwa
れもきちんと落ちた。
x月x日
きみの部屋のサボテンに初めての花が咲いた。
x月x日
久しぶりに雨が降ったのであたまの中がミント味になった。
そろそろ梅雨に入るのかもしれない。せっかく洗濯機が直ったのに。
x月x日
電力会社がきみの部屋への送電を止めた。
次はガス、最後に水道。
取り残された金魚もそろそろ死ぬだろう。
きみは泣くだろうか。
x月x日
きみは歩いている。
歩き続けるうちに、その理由を忘れてゆく。
x月x日
暑さにやられて倒れていたら
知らないおじさんがアイスをくれた。
顔は好みじゃなかったけどお礼のキスをした。
x月x日
歩き続ける。
道路なんてとうの昔に消えた。
x月x日
きみの部屋に手紙が届いた。
僕はそれをきみの故郷に転送して、
枯れたサボテンと、死んだ金魚を
枯れ葉が積もる庭の土に埋めた。
x月x日
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