ガス・ストーブのこと/はるな
てしまう幸福の不思議。
どちらかと言えば厳しく躾けられた。親をいちばん傷つけるかたちで反抗した。しかし結局いちども一人暮らしをしないまま嫁ぎ、それから母がみょうに甘やかしてくるようになった。ちょうど二十歳ごろに家を出た姉に対してと同じように。わたしたちは離れてからはじめて、母娘のある部分を成しえたのかもしれない。そして穏やかなまなざしで、優しげな口調で、どんなに孫をたのしみにしているかを言う。母は、わたしの、未熟な生殖器に関することは、なにもしらない。
いくつものかたちをくぐって、それぞれの目にまったくべつのかたちであらわれる幸福と呼ばれるものもの。
外反母趾の足を押込んだ白い靴
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