末路/まーつん
 
もなく
信念もなく
ただ 風にもてあそばれる木の葉のように
感情に流されて往き惑う心
本当の自分を見出せないまま
盲目となって欲望にまみれた両手を差し出し
きらびやかなショッピングモールをよろめき歩く
消費社会の奴隷
流行の服で着飾った
血色のいいゾンビ達

生きるのは快い
そう思えるのならば
どんな代価でも支払おう
そうたやすく口にする者たちの
どれだけ多くの足が
その狭き門を前にして
引き返してきたことだろう

みじめさの毛布はぬくぬくと心地よく
敗北に慣れた心が日陰の庵に甘んじる
そして時計の針は飛ぶようにまわり続け
ある日鏡の中に年老いた迷子となった自分を見出す
鏡の国の目新しい見世物に夢中になったまま
現実の世界に帰ることを拒み続けた
もう一人のアリス達の

あわれな末路


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