末路/まーつん
生きるのは痛い
北風の切っ先
酷暑のサンドペーパー
でもこたえるのはむしろ 肉体よりも 心
人々は 視線の剣を結びあいながら
肩を怒らせて 通りを行き交う
道端の植え込み 鳥たちは 素知らぬ顔で虫けらを啄む
互いを押しのけあって パン屑の施しを追いかける水鳥たち
首に縄を付けられて 虜囚の檻の中で肥え太る飼い犬たち
生きるのは痛い
たとえ怠惰なぬるま湯の中にいても
快楽に押し流される忘却の中にいたとしても
消して眠りに落ちることのない内なる目が
己の孤独を見つめている
どんなごまかしにも目を奪われない
内なるまなざしが
己の真実を見据えている
目的もな
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