2006年〜2008年ごろのpoenique投稿作まとめ/ブルーベリー
茶色い髪も睫毛も浮き出るように濃く
生き物でないかのように佇んでいる。
最初からこれは生きていなかったのだ。
手にした細長い綱は軽いが
ゆらゆらと震えたので
その先を辿ると発信源は自分の手だった、
赤い枕で眠る女の
口元は上がっている
幸せな夢を見ている。
背筋が凍るのはその神々しさに対して
畏敬の念をもつからだ
震えているのは寝る前に
母親世代の作家の文庫本を読んだからだ
全ては遠く現実味がなく読んだという認識しか残らない
無力感に膝をつく
赤い枕で眠る女の
目が今にも開いたら
きっと食事を始めるだろう
(即興ゴルコ
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