spring steps/橘あまね
 
新しく作られた神様を
ひび割れた背中にぶら下げて
くすんだ野道に そぞろの巡礼
通りすがりの南風から
千年前のにおいがする


中空いっぱいにひろげた彩度の
かけらだけでも取り戻せたら
踏みしめられて 忘れられて
埋もれてしまった単位たちも
また息継ぎをする


倦んだアンテナに
警句の表情で訪れるもの
足取りの繰り返しを補う
虚無にとらわれるな
歩みよ途切れるな


いつか身体を寄せる場所
歩きあぐねた最果てに
一輪の導きが咲くだろう
あかく陽に映えて
うつくしく真理めいたまなざし
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