見知らぬ街2/……とある蛙
鳥も帰らぬ街の残骸
その真上にも空が拡がる
空には厚い黒雲が犇めき(ひし)
雲の凹凸にたくさんの泣き顔が
泣き出す雨の一粒一粒が
いのちのかけらであったため
泣き出す雨に佇んだ
涙袋が途方に暮れた
生き残った涙袋
いつになったら雨上がり
いつになったら晴れわたる
遙か彼方の山の中腹
矮小化された箱船の残骸
漁港に繋留される船はない。
舫に繋がれた船はない
いつになるのか雨上り
いつになるのか晴れの日は
虹は本当に架かるのか
見当つかずに立ち竦む
それを遠くで眺める者も
手を拱いて途方に暮れる
それでも港は人が住み
目をそむけ残骸の
あれから何かが変わったのだろうか
残骸の見積もり一つできていない。
あれから何かが変わったのだろうか。
戻る 編 削 Point(10)