聖者バレンタインのブルース/竜門勇気
 

2月の風はな まだ冷たくて
寂しい気分がもう終わろうとしてる
焦れたむずがゆさが世界を支配してるんだ
羽根の生えた虫がいない季節は
音のないせせらぎ

俺はな あのちょっとワクワクしながら
裏切られる日が楽しみだったんだ
後悔に泣いていいのは 渇望しながら努力をしなかった人間だけだ
俺はそういう人間になろうと思って
つまり後悔に泣く人間であろうとしたし
実際そんな誓いを立てなくても
そのままで俺はそういう人間だった

ヴァレンタインデーが過ぎちまってるじゃねーか
もうどんな焦りも起きやしない
2月を支配するむずがゆさは
薄れて頭の後ろに濁っている
爆弾魔は公
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