Bel Air/木立 悟
ところどころ消えかけた街
不確かで確かな
曇の上 曇の下
逆さの青と白の午後
ひろげた腕と
土を向く手のひら
ななめに明るい推力で
飛び越えてゆく水の跡
地平から地平から湧き上がる
羽毛の曇のプロミネンス
灰にかがやく涙を千切り
さらに昇り さらに昇る
街のまぼろしのむこうへむこうへ
青は蒼に駆けてゆく
北と鱗と
冬の楽団
亀裂 泡沫
倒れゆく壁
倒れながら
色を透る色を見る
たたく音 音たたく音
再び沈む埋立地
星をまわり
霧を刻む波
見えぬもの ただ
かきまわすもの
止まった冬を
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