歌/……とある蛙
※しゃっくりする男の隣で聞いてる音楽
※詩の作法でなににもまして音楽だと説いたベルレーヌ
言葉は旋律にのって
意味の無い音楽ほど
美しいなどと
仲間内で褒め合っている。
仲間内は盲で聾で
歌のない音楽たち
言葉は旋律にのって
真実を語る
言葉は旋律にのって
思い出を語る
言葉は旋律にのって
悲しさを語る
言葉は旋律にのって
楽しさを語る
言葉は旋律にのって
優しさを語る
言葉は旋律にのって
美しさを語る
歌おう
すばらしい
故郷のために
すばらしい
思い出のために
すばらしい
仲間のために
しかし
言葉は語る
辛い旋律にのって
言葉は語る
辛い真実を
言葉は語る
解決できない現実を
言葉は語る
虚偽の人生を
言葉は語る
忌々しい過去を
言葉は語る
醜い人間関係を
それでも歌おう
黙っていては
始まらない
黙っていても
何もない
黙っていては
消えてしまう
だから大声で歌おう
旋律にのせて
[グループ]
戻る 編 削 Point(8)