愛と誠/たにい
誠はちっちゃな頃から悪ガキで同情ってことがわからなかった。
人の辛そうな顔を見たり聞いたりするだけで不愉快になる。
自業自得だろう。
それなのに人を恨みがましい目で見ないでくれ。
俺は何もしてない。
俺が悪いんじゃない。
そんな顔をするのはやめてくれ。
それでもどこかうしろめたさを感じていたから優等生が嫌いだった。弱い者に優しくするなんて偽善だろう。
人気取りか先生受けを狙ったかと勘ぐってしまう。
それよりは自分みたいに汚い者、劣った者、弱い者は嫌いと言い切るほうが正直だと自己肯定していた。
当然ながら友達はいなかった。親は心配したが誠は平気だった。くだらん奴ら
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