冬の扉/草野春心
 



  真夜中
  あなたは赤い花弁に
  最後の口づけを済ませ
  ぼくの背中に取り付けられた
  古い扉を抜けてゆく



  そこから先が
  本物の冬
  煙草を吸いながらぼくは
  北風があなたの
  後ろ髪を揺らすのを見送る
  それがぼくたちの
  左様ならの形




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