器官なき身体の覚書2/イリヤ
もひとつの強度、距離ゼロへの接近を表象している。狼の群れはほかならぬ肛門の領域。狼になること、孔になることは錯綜したさまざまな線(トレ•ユネール)にしたがい自己を脱領土化することなのだ。一匹の狼もひとつの孔も、無意識というものの粒子であり、分子的多様体の要素であり、粒子の生産•行程なのだ。物理学者が言うように、孔とは粒子の不在なのではなく、光よりも速くすすむ粒子のことなのである。肛門は飛び、膣は加速する。去勢などほんとうは不在なのだ。
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多様体の話にもどろう。多様なものを純粋に思考するため、統一性や全体性に仕立てあげるのをやめるため、弁証法にあてはめて思
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