わたしごと 冬の先/月乃助
 
暗いそらのした
森の樹皮質のぬくもりが、
重さをました広大な冬の夜をささえている


不思議な安寧をやくそくされ
みちびかれるように 生きる
神々しく 雪をいただいた山のうちふところで


私は、ここで
母がそうであったように
占いを業(なりわい)とする


河瀬の魚のなみだを知り
山を見つめ
月の満ち欠けを とう


月にいちど 電車にゆられ
地下鉄にのりつぎ
森では聞くことのない言葉をはなす人にまじる


婚期を逃したと なげく女の
親が病にたおれた娘の
仕事がないと気落ちする 初老の男の
話に耳をかたむける


私は、ただわらって
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