即興詩 2.12/相田 九龍
 
大丈夫だよって言った
飛び地を漂う気球の上で
ずっと考えていたこと
千切れ雲に重ねて
宇宙の浜辺に寄せて返す波

航路を遮る物もなくて
気体の存在だけを頼りに進む
死体とか根っことか笑顔とか
空からは見えないね
夕景がすべて覆うだけ

風が吹いたら僕ら笑うだけさ
飛び地を漂う気球の上で
迸る生命を浴び続けた体だ
あの雲みたいに千切れて
空を漂うこともある


街灯が見え始めて
いつかの終わりに似た深まる夜
何回繰り返したって
境界線のない世界だって終わる
さあ僕ら、目に見えないものだけを頼りに

200年経ってそれでも僕ら
こうしていられるのなら
迷路、泥の上だって芽吹きを待とう
一粒、一粒と祈りを蒔こう
優しい螺旋の歌を聴かせてあげよう
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