日周運動と年周運動/北村 守通
 
夜とは本来暗いものであったということを
思い出す頃には
すっかりと目は闇になれ
波の形のいくつかをくっきりと認識できるようにはなっていた

釣りとは本来寂しいものであったということを
思い出す頃には
すっかりと感覚は麻痺し
機械的な打ち返しの繰り返しを止めることすら忘れてしまっていた

人間同士の繋がりを持って
自分に不利にならないように配慮しながら
繰り返し
日々を過ごすということが
窮屈であるということを思い出す前に
望んでもいないジョークと笑顔が先行し
積み重なって一年となり
積み重なって
崩れて
崩れた上に
不安定ながら
無理やり圧をかけて
積み重ねて
四十一年すぎてきたが
外れてしまった軌道に
横から力を加えてみるという
無謀な勇気は
あいにく持ち合わせていないということを
思い出した

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