即興詩 2.11/相田 九龍
 
世界でやっと、誰も覗いてないのを知って、揺れながらひとりで歩き出す電車の中、カタカタと刻む色のない野望とか夢とか

切り刻まれた街にも降り注ぐ太陽を、微かに笑った唄う木々を、覚えているのは誰と誰と誰、幸福の文字をちゃんと読めるのは誰と誰と誰
精神世界の端から端まで途中で何度か休むといい、そこがあなたの帰る場所、響いた波の届かぬところ、轟く地鳴りの届かぬところ
ひとりが、ひとりが、ひとりに当てはまるどこまでも多い"ひとり"が、ひとり残らず変わるなんて無理だいつか死ぬし、その間にも取り返しのつかない未来がつまり
やっと辿り着いた精神世界の端で名付けられた現在だ、ゆっくりとお帰り、いつも大体同じ場所にいて、いつも大体何かしているあなたが呼んだ
とってもまともなあなたが書いた、誰にでも宛てない手紙と共に風と森と、雨が降ってたくさんが潤うように、僕と手を繋げればいい
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