鳴かない猫/nonya
 
ある米国の裏町を仕切っていた
ボス猫の末裔のDNAが
そうさせるのか
君は
鳴かなくて
媚びなくて
容赦なくて
猫タワーの最上段から
すぐに泣いてしまう人間達を
見下ろすのが好きなのだ




ある日の夕暮れ

聞き覚えのない
猫の鳴き声が聞こえてくるので
窓からそっと覗いてみると
いつの間にか締め出された君が
玄関のドアをうらめしそうに
見上げていた

ごめんごめん
君の声忘れていた




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