春風のように/吉岡ペペロ
 

駅の明かり

そこからひとが吐き出されていた

皆なんらかの仕事を果たして

人生の主人公のような影をして

駅から遠ざかるために動いていた


歩きながらひとを愛した

からだを愛するには

遠すぎるということはない

指を冷たくさせながらひとを愛した

近づいても春風のように

愛がそこらにとめどなく流れていた


駅の明かり

そこからひとが吐き出されていた

皆なんらかの仕事を果たして

人生の主人公のような影をして

駅から遠ざかるために動いていた
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