うみねこが待ってる。/ブロッコリーマン
※ まぁそういうこともあっていいじゃないか。
無数の蝶々のはためきの方がかもめの鳴き声よりずっと気になるじゃないか、と誰かが言ってでも誰もその間違いを指摘しない。間違いとは根本的にそういうもので、そのようにして傷口は深くなっていくものなのだ。友人は自分の血を見るのが好きで傷口のかさぶたを剥がしてはにやっと笑い、俺はメンヘラなのだ、と、やはりそれは自嘲であった。そんなふうにメンヘラは笑わないのだということを私は知っている。本物のメンヘラがなんたるかなどを語るつもりなど毛頭ない。それは私の知らないことだからだ。兎も角も私はその友人に傷の治し方というものを教えてやった。しかしかさぶたほじりは彼の趣
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