港/草野春心
 
いに話しているようで



  ――遠い日の朝
  未だ、寝間着姿のままで
  愛する人の描いた一本の視線が
  今、この港に辿り着いたのか
  それは彼方から僕を真っ直ぐ見つめ
  鮮やかに心臓を射抜く
  此処に立っていると
  青空と海の溶け合う辺りに
  忘れられた視線が幾つも交わる
  その場所に向かって
  僕もまた新しい視線を描き
  紙飛行機を飛ばすように
  真っ直ぐに贈ってみる




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