次郎先生のこと/板谷みきょう
残念だけれども
それじゃあ福祉は
成り立たないんだよ!
君が言った、受け容れられない性格や
相性が合わないことを理由にして
園生の世話は
相性の合う人に任せるといい
って話だけど
君が受け持ちたくない人は
みんなも
受け持ちたくはないんだよ
誰もが嫌がる人を引き受けたり
誰もが嫌がることを行う気持ちこそが
福祉なんだよ。
次郎先生は
大声を出すこともなく
穏やかに笑顔で話してくれた
あの時
ボクは、身が持たなくなって
心が折れてしまっていた
そして
逃げ出すように山奥の施設を辞めた
行き場のない障碍を抱えた人に
自宅までも開放し
共同生活をした次郎先生
次郎先生は
今も、槇の木学園施設長として
活動している
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